犬・猫の鼠径ヘルニア
鼠径ヘルニアについて
ヘルニアというのは、内臓や組織などが本来あるべき場所から突出したりすることを指します。鼠径ヘルニアの場合、下腹部や足の付け根あたりから腸や膀胱、子宮や脂肪などが出てくることが生じます。
多くは生まれつきの先天性ですが、外傷などで後天的に発症するケースもあります。

診断
鼠径ヘルニアの診断はおおよそ肉眼的に可能です。お腹の左右のバランスが崩れているときは特にわかりやすいですが、両側に発生するケースもあります。両側が鼠径ヘルニアになっている場合は、その膨らみ加減で判断することがほとんどです。
また、触診も重要です。触って、ヘルニア孔という呼ばれる穴を確認します。ヘルニア孔の位置、大きさ、そして、突出している内臓などが腹腔内にもどるかどうかなどをチェックすることができます。特に、ヘルニア孔の大きさは手術の難易度にかかわってくるので要確認になります。
治療
内科的に治療することはまず不可能なので、ほとんどの場合は外科的に治療をします。
手術は全身麻酔にて実施しています。下腹部の膨らんでいる部分を切開して、脱出している内臓などを確認します。その後に、腹筋を探り、ヘルニア孔を直接視認できるようにしていきます。ヘルニア孔は縫合糸などで塞ぐ必要がありますので、適切に周辺の脂肪の剥離などを行います。(血管の走行があることが多いので、出血させないように注意が必要です。)
またヘルニア孔が縫合糸でふさがり切らないケースもあります。体格に対して相当に大きなヘルニア孔はプロピレンメッシュなどを使用して整復することがあります。

術後はエリザベスカラーなどを装着しつつ、10~14日ほどで抜糸が可能になります。