糖尿病治療
糖尿病の治療は非常に繊細です。わずかなインスリン量の調整が状態を大きく変化させます。当院では糖尿病の治療には絶対的な自信があります。十分なインスリンの投与に合わせて糖分を補充する必要があります。本人に合ったインスリンを投与することにより様々な合併症を回避することができます。治療のはじめはこまめな血糖値のモニターがかかせませんが、糖尿病の治療は努力が報われる傾向にあり、回復すれば良好な日常を暮らせるようになります。近年はインスリン薬もたくさん種類がありますので、その使い分けも重要です。
糖尿病について
糖尿病は体内で合成・分泌されるインスリンというホルモンがうまく分泌されなくなったり、機能しなくなったりする病気です。
インスリンについて
インスリンは主に血糖値をコントロールしている内分泌ホルモンになります。神経や筋肉などが正常に機能するためには糖分などの栄養素はとても重要です。その糖分の量を安定させている役割があります。血糖値以外にも様々な因子に影響を与えているのがインスリンです。
原因
糖尿病は生活習慣病のひとつとも考えられています。動物の場合は食生活などが大きく影響しているというよりはおおよそ遺伝的な問題が大きいかと思われます。ただ、肥満傾向にある個体が罹患しやすい傾向にはありそうです。近年は大きな猫が増えており、糖尿病になっている猫も多くなっている傾向にあります。
診断
診断は比較的、容易に行うことができます。主には血液検査にて血糖値の異常な上昇を確認し、尿糖が検出されれば糖尿病であると診断が可能です。また糖尿病にはインスリン抵抗性という厄介なタイプもあるので、治療に移行するにあたって、そのあたりの確認も必要になってきます。
治療
治療は主にインスリンの投与によって血糖値を安定させることによります。様々なタイプのインスリン製剤が販売されており、その個体にあったインスリン製剤を選択していくことがとても重要です。
短時間型インスリン
短時間型は後述しますが、ケトアシドーシスという病態に陥っている際によく使用します。インスリンの調整が最もしやすいですが、非常に繊細であり、かつ持続的な治療が必要となるため、基本的には入院した状況で使用します。
長時間型インスリン
短時間型に比べて作用する時間が長いのが長時間型インスリンになります。長時間型インスリンの特徴は製剤を希釈して使用することができるという点があげられます。非常に体重の軽い子ややせ細ってしまった動物は濃度の高いインスリンを使用することができないことがあります。なので、希釈可能なインスリン製剤を選択する必要があります。
超長時間型インスリン
長時間型に比べてさらに作用時間が長いのがこの超長時間型になります。効果が長く得られるため、最も血糖値が安定しやすい傾向にあり、できればこうした製剤を選択したいところです。超長時間型は1日1回の投与でも対応ができるというメリットもあります。お仕事の都合などでどうしても複数回のインスリン投与が難しい場合などはこのタイプを利用していくことが望まれます。
糖尿病性ケトアシドーシス
糖尿病治療にあたって意識しておかないといけないのが、ケトアシドーシスの存在です。糖尿病の怖い点は安定している間は問題ないのですが、風邪や膀胱炎、胃腸炎などちょっとしたことで、一気に重篤化しやすいことがあげられます。糖尿病が悪化した状態をケトアシドーシスと呼ぶことがあります。体内にケトン体と呼ばれる有害物質がたまってしまうことで、活力がなくなってしまう病態です。
ケトアシドーシスの治療については緊急性がありますので、ほとんどの場合、入院して点滴しながらの治療となってきます。