低タンパク血症-蛋白喪失性腸症
低タンパク血症は犬の診察でしばしば見受けられます。低タンパクになる起源として腎臓、肝臓、腸が考えられます。腎臓が期限の場合を特にネフローゼ症候群と呼ぶことがあります。肝臓では肝硬変などが考えられますが、動物では稀です。そして最も多いのが腸のトラブルによるもので、蛋白喪失性腸症と診断します。蛋白喪失性腸症は一般的に自己免疫介在性疾患と考えられており、免疫抑制療法が奏功します。免疫抑制剤により効果は出ますが、その程度は様々です。免疫抑制剤にも即効性があるものと、効果が遅くに出てくるタイプがあり、そういったことを考慮した上で治療方針をかためていきます。当院ではそのほかにアミノ酸配合の点滴や血漿の輸注による蛋白補充療法にも取り組んでいます。これはどちらかというと応急的な処置ですが、胸水が貯留しているような重度の症例に対しては必ず検討する必要があります。診断すること自体は簡単な病気ですが、治療経過および計画はその動物に合ったものを考えなくてはいけません。