犬猫の皮膚糸状菌症
皮膚糸状菌症について
動物病院での診察では皮膚病は非常に多く相談が寄せられます。動物は毎日お風呂に入るわけではありませんし、その割に、全身が被毛で覆われているので、皮膚病が少なくありません。皮膚糸状菌症はその皮膚病の中の一種であり、その多くは幼若齢の動物に発症します。
幼若齢の犬や猫は特に免疫力が弱いということもあり、感染症にはかかりやすいかもしれません。またワクチン接種が十分に完了していない間は皮膚病に罹患しやすい傾向があります。
いわゆるカビが原因となって発症するため、普段、生活している環境に問題や原因があるケースがありあそうです。
診断
本症の診断は視診および顕微鏡などを用いた皮膚検査にて診断することが可能です。
視診では、以下のような特徴が見受けられます。
・白いフケっぽものが出ている
・脱毛がみられる
・顔や足まわりに多くみられる
・脱毛部位が点在している

また、顕微鏡などの検査では、細菌に比べて大きめの菌体が確認できます。顕微鏡で菌を確認できれば、診断が可能になります。真菌と思ったら、細菌性の皮膚病のこともあるため、顕微鏡での検査は非常に重要になります。
治療
治療方法は基本的に3つあります。
薬用シャンプー
動物は人間に比べてシャンプーをする機会が少ないのですが、シャンプー療法は皮膚疾患の治療においてはとても重要です。とくに本疾患の場合は抗菌作用のある薬用シャンプーを使用して治療にあたります。薬用シャンプーはその性質から、つけおき時間が必要であるなどの注意点があります。当院では皮膚の治療に必要な薬用シャンプーを数多く取り揃えております。
外用薬
皮膚糸状菌症の治療には塗り薬を推奨しています。本疾患は脱毛がみられることが多いため、塗り薬が塗りやすいのと、飲み薬は種類が少ないのですが、外用薬はその種類が豊富にあり、治療にあたりやすいという傾向があります。特に幼若齢の動物では飲み薬が体に合わないこともあるかもしれませんので、塗り薬をお渡しすることが多くあります。
内服薬
内服薬は全身性に症状が出ている子に推奨されそうです。効果はシャンプーや外用薬に比べたら、やや劣る部分がありますが、例えば、薬を塗っても舐めてしまうような子には良い方法かもしれません。また、全身に効果が期待できるので、塗り薬では塗り忘れてしまった体の部位にも治療を行うことが可能です。