猫の尿管バイパス手術(腎臓膀胱バイパス手術)|犬猫の治療なら広島市konomi動物病院

猫の尿管バイパス手術(腎臓膀胱バイパス手術)|犬猫の治療なら広島市konomi動物病院

猫の尿管バイパス手術(腎臓膀胱バイパス手術)(SUBシステム)

猫の尿管結石

人も動物もその個体の体質や食生活の影響によって、体内に結石ができることがあります。結石はその発生部位、大きさ、数などがとても問題になります。

特に腎臓に結石が発生したりすると、著しく腎機能が低下することがあります。早期に発見することができ、食生活の改善を取り組んでいくことができれば、大きな問題には発展しないこともあります。しかし、万が一、腎臓のその先の尿管に結石が移動することで、尿路が閉塞されてしまうと極端に状態は悪化していくことが想定されます。

近年、尿管結石は猫の飼育者がかかえる課題の一つになっています。慢性腎臓病とは違い、時に緊急性があり、適切な処置が求められる疾患になります。

症状

腎臓は左右にひとつずつあります。なので、膀胱へ続く尿管も体内には2本あります。そのうち1本が障害されても、ほとんど症状は出ないかもしれません。痛みが出たりすることはありますが、なかなか分かりにくいことが実情かと思います。

一方で、左右の尿管の両側に問題が発生すると症状が強く出てくることがあります。食欲低下、元気の消失、嘔吐などが主症状になります。あとは血尿ですが、血尿だとしても尿が出ている間はまだマシかもしれません。最悪の場合は完全に尿が出なくなることもありえます。尿が出なくなると、数日内に極端に症状は悪化していくため、早期の対策が求められます。

検査・診断方法

結石の確認は主にレントゲン検査・CT検査により実施します。CT検査では麻酔の処置が必要になることがありますが、結石の左右の位置関係・その数・程度が知ることができ、とても有用な検査になります。あとは超音波検査でも確認できることがあります。超音波検査は尿管の大きさにより、そのレベルの程度を知ることができます。ただ、詳細には判断ができないことも多いため、必ずレントゲン検査などと合わせて、総合的に判断することが重要です。



そして忘れてはいけないのが血液検査になります。やはり尿管に問題が起こると腎臓の働きが悪くなるため、BUNやCREなどの腎臓関連の数値は高くなっていることが一般的です。数値が一定の水準で維持できればまだ良いのですが、どんどん高値になる場合は注意が必要です。

↑ 赤丸で示した部位がレントゲンで結石が確認される場所です。

治療について

治療はその結石の状態により大きく変わります。例えば以下のような方法があります。

・腎瘻チューブ設置術
・尿管切開手術(尿管結石摘出手術)
・尿管膀胱吻合手術
・尿管バイパス手術(腎臓膀胱バイパス手術)

今回はその中でも尿管バイパス手術について案内いたします。
当院では腎瘻チューブの設置により改善の見込みが得られた場合にバイパス手術を実施することを提案することがあります。

手術について

手術は全身麻酔下にて行います。全身状態が悪い状態での全身麻酔は危険は伴いますが、できるだけ安定できる状態まで改善させておくことが望まれます。


腹部を切開して、問題となっている尿管およびそれにつながる腎臓を確認します。そして、専用のデバイス(SUBシステムetc)を使用して、腎臓や膀胱に必要に応じて切開を加えていきます。その際に問題なく尿がバイパス用のチューブから流れているか確認します。

うまくバイパスを確立することができれば、術後から血液検査の改善が見込めます。どこまで改善するかは、どれだけの腎機能が保てているか、体力が残っているかに大きく関わってきます。もちろん、術者の腕にも関わりますが、それだけではないのが、この手術の特徴ともいえます。