犬・猫の鼻腔疾患
犬・猫の鼻腔疾患について
鼻腔疾患の症状は主に、鼻づまりによる呼吸困難・くしゃみ・鼻血などがあります。ただの風邪かなと思ったら、重大な問題が隠れていたりすることがあります。
臨床的に問題となるのは鼻の病気に対してアプローチすることが容易ではない点があげられます。見た目で分かりにくいということが診断に悩んだり、時間がかかることにつながります。
多くの場合は鼻炎などに対して、注射や飲み薬で対応することが一般的です。炎症をおさえたり、抗菌薬などの使用によって症状が改善するかを確認します。改善がなかなかみられず、悪化していくような場合は、CT検査や内視鏡検査を実施することがあります。
CT検査
当院では鼻の疾患に対してCT検査をすることが可能です。CT検査はレントゲン検査よりもより立体的にかつ詳細に鼻腔の状態を把握することができます。
CT検査では主に腫瘍の有無をチェックすることができます。ただ、大きさによっては分かりにくい場合もあります。また、CT検査は白黒の画面での把握になりますので、腫瘍の悪性度や出血の具合、硬さなどは判定がほとんどできません。総合的に判断するためにも多くの場合は内視鏡検査を並行して実施します。
鼻腔内視鏡検査
検査について
鼻腔内視鏡検査は鼻腔内でのトラブルが疑われた際に実施します。
検査には麻酔処置が必要ですので、健康状態に問題がないか事前に確認いたします。
もし、健康状態に問題があれば検査が延期になる可能性があります。
内視鏡を挿入するにあたって軟口蓋の過長が認められたときは必要に応じて対処しています。
検査のみの場合は即日退院が可能ですが、ポリープの切除などが必要になったときは、
数日入院することもあります。
※鼻腔のサイズにより、検査の実施が困難なケースがございます。チワワなどの小型犬種などでは実施が難しいことがあります。多くの場合は実施可能ではありますが、場合によるという感じです。
考えられる疾病について
症状として鼻水や膿性鼻汁、せき込みのようなものがあります。
その際に、副鼻腔炎や鼻腔内腫瘍を考える場合があります。
特に鼻腔内腫瘍の場合はレントゲン等の画像診断が難しい場合が多く、
鼻腔内視鏡検査により原疾患の同定につなげることができます。
早期検査のすすめ
鼻腔内視鏡は簡便に実施ができます。
画像で肉眼的に病変を確認することができますので、本検査は早期発見、早期治療に役立ちます。
鼻腔の腫瘍性疾患
犬や猫は鼻に腫瘍ができやすい動物になります。しかし、動物は話をしてくれないので、発見がおくれたり、気づいたら、ひどく悪化していることもあります。
中でも注意したいのが、腫瘍性の病気です。若い子ではほとんど問題になりませんが、犬や猫の場合は8歳を超えてくると可能性が高まってくるのが腫瘍になります。
鼻にできる腫瘍は主に2つがあげられます。(他にもたくさん分類はありますが、臨床的に多くみられるのが2種類になります。)
鼻腔腺癌
鼻には鼻汁を分泌する腺細胞があります。その腺細胞が腫瘍化したものが腺癌になります。腺癌はなかなか治療が難しい腫瘍になりますが、近年では抗がん剤の活躍により、ある程度の治療効果が見込めるものになってきています。
リンパ腫
動物の三大腫瘍のひとつとしてリンパ腫があります。リンパ節に発生したり、脾臓にできたり、体のあらゆる部位に発生する可能性があります。鼻腔にもできやすいことは知られており、当院でも鼻から目にかけて浸潤するリンパ腫に多く出会います。リンパ腫は抗がん剤での治療が基本となり、完解を目指して治療計画を考えます。