片側披裂軟骨側方化術(タイバック)
片側披裂軟骨側方化術(タイバック)
喉頭麻痺の病態
呼吸の過程は横隔膜が上下し、肺が膨らんだり縮んだりして、息を吸ったり、吐いたりすることからなります。
本疾患は喉頭麻痺という喉頭部の神経疾患からなる呼吸器の病気です。
大型犬で発症することが多く、重度の呼吸困難を呈する場合は、嘔吐を伴ったり、発熱することがあります。
診断
喉頭麻痺の診断は容易ではありません。
なぜなら無麻酔でできる血液検査やレントゲン検査、超音波検査での確定診断ができないためです。
診断方法は可能性のある他の疾病を除外した上で、内視鏡検査にて声帯の動きをみます。
呼吸に合わせて声門が開いたり、閉じたりするのが正常ですが、それがうまくできていない場合に喉頭麻痺と判断します。
治療
治療は内科的な保存療法および外科手術に分かれます。
保存療法はできるだけ高温な場所を避けることや、興奮状態にさせないこと、酸素管理などがあげられます。
一方で、外科的な処置に関しては複数の術式がありますが、片側披裂軟骨側方化術(タイバック)が最も成果が認められるため、当院でも採用しています。
頸部に切開をくわえます。
甲状軟骨や輪状軟骨、披裂軟骨などの位置を把握して、適宜切開を加えていき、分離していきます。
軟骨に糸をかけて、声帯を広げるようにします。内視鏡にて呼吸がしやすくなっているか確認します。
術前と比べて声門が広がっていることを確認できれば、切開部を縫合して完了です。
本疾病は場合により重篤な症状を呈し、QOLを著しく低下させる可能性があります。
当院では、重度の喉頭麻痺の症例に対しては片側披裂軟骨側方化術を実施することを提案しております。
どうぞよろしくお願いいたします。