ひも状異物
病態
猫はよく色々なものをかじります。猫の自然な習性ですので、しつけや治すといったことは難しいでしょう。
仮に飲み込んでしまっても、しばらくすると吐き戻して問題がなくなることが多いのですが、ひも状のタイプは注意が必要です。
今回はビニールひもを飲み込んでしまい、一部が肛門から出てきた症例です。
ひも状異物のやっかいな点は、腸壁との摩擦により、引っ張っても取り出せないということです。
とはいえ引っ張るしかないのですが、潤滑剤を加えながら慎重にゆっくりと進める必要があります。
治療
状況に応じますが、内視鏡により摘出することが一番理想的な手法です。
内視鏡は抜気、送気ができることはもちろん、送水もできますので、ひも状異物の摘出には優れています。
摘出後は腸壁の穿孔がないか確認し、抜気して治療終了となります。
強烈な摩擦や腸全域に及ぶ異物により内視鏡による摘出が困難な場合、開腹手術が必要なことがあります。
腸は第二の脳とも呼ばれ、開腹手術による腸切開はかなりのリスクを伴います。
当院ではできるだけ切開部位は1か所にするようにして、生体へのダメージを少なくするようにこころがけています。
腸壁がかなり荒れていますが、穿孔がなければ問題ありません。
内視鏡で確認できる範囲で異物の存在が途切れていれば、予後は良いといえるでしょう。