フィラリア感染症(犬糸状虫症)
病態
犬糸状虫は日本ではよくフィラリアと呼ばれます。寄生虫感染症ですが、蚊に刺されることによって、犬や猫が感染する可能性のあるものです。寄生虫を保有する蚊に刺されてしまうと、発症することがあり、犬の場合は心臓に影響を及ぼし、時に命にかかわることがあります。猫は室内飼育が基本であることもあり、発症するリスクは少ないものになりますが、それでも可能性がゼロではありません。
診断
フィラリア症の診断は検査キットによる血液検査にて診断が可能です。非常に短時間で検査結果が確認できるため、迅速な治療を行うことができます。また、血液塗抹での虫体の確認や、超音波検査による心臓への寄生の確認などが可能です。
顕微鏡による確認でフィラリア虫体の確認をしています。静止画だとわかりにくいかもしれませんが、実際には虫は動いてみえるので、すぐに判別が可能です。
治療
当院では治療は主に抗菌薬での治療を実施しています。1年程度にわたり、とても時間がかかる治療になりますが、根気よく投薬を続けることで重篤な症状を示すことなく生活ができることが期待できます。完全な駆虫が可能かどうかは個体差によりますが、多くの場合は限りなく駆虫をしていくことができます。また長期の投薬による副作用なども、ほとんどみられず安全な治療であると思われます。
また治療薬の投薬と同時に、定期的な予防薬の投薬も非常に重要です。
予防
予防については喜ばしいことに、多くの飼い主様に知っていただき、その方法についても浸透していくことかと思います。飲み薬による予防や注射による予防など、方法がいくつかございます。上記の治療と組み合わせることで、万が一、フィラリア感染症に罹患してしまったとしても、うまくコントロールしていくことが可能となります。