犬の線維付属器過誤腫
犬の線維付属器過誤腫
病態
線維付属器過誤腫は悪性の腫瘍ではありません。ちょっとした傷やケガが治るときに治りすぎるというか、炎症が強く起こりすぎて大きなしこりをつくってしまうという疾患です。あまり聞きなれない病気の名前ですが、基本的に悪いものではありません。
治療
多くの場合は外科的な治療により良好な予後が得られます。悪い腫瘍というわけではないので、再発や転移については心配する必要はありません。腫瘍が発生している部位にもよりますが、たいていは簡単な手術で切除ができるので、日帰り~数日入院での治療が可能です。今回は肢先での発生でしたので、傷口をなめたりしないようにしっかり包帯をして傷口を保護しました。歩行時にできものから出血がみられるようになったので全切除を実施しています。
縫合処置後の様子です。きれいに切除することができました。術後の歩行も問題なくできています。今回は肢先でしたので包帯で傷口をカバーしました。エリザベスカラーをつけることもありますが、そのあたりは本人の体格などをみながら判断していきます。
予後
今回は非腫瘍性の病気なので、経過は問題ないものと思われます。ただし似ている病態をつくるものとして、肥満細胞腫やリンパ腫、扁平上皮癌などがあるため、しっかり病理検査を実施し、鑑別診断を怠らないようにしないといけません。肢は1本ではありません。他の肢や背中や首など同じようなしこりができた時にはまた別物としてとらえる必要があるかもしれません。