膀胱炎は、犬や猫で比較的よくみられる泌尿器疾患の一つです。
「何度もトイレに行く」「少量ずつしか尿が出ない」「尿に血が混じる」「排尿時に痛そうにする」などの症状がみられます。
膀胱炎の原因は細菌感染だけではなく、尿石症や膀胱の腫瘍などが関係する場合もあります。特に猫では、明らかな原因が見つからない特発性膀胱炎も多くみられます。
そのため、症状だけで判断せず、尿検査や画像検査などを組み合わせて原因を調べることが重要です。
病態
膀胱炎とは、尿を一時的に蓄える膀胱に炎症が起こった状態です。
炎症によっては膀胱粘膜が刺激されると、尿が十分にたまっていなくても尿意を感じるため、頻尿や少量の排尿がみられます。また、炎症によっては出血すると血尿がみられることもあります。
膀胱炎は原因によって治療方法が異なる為、炎症の有無だけでなく、原因を特定することが大切です。
原因
膀胱炎の原因には、以下のようなものがあります。
細菌感染
犬では、細菌が尿道から膀胱へ侵入することで起こる細菌性膀胱炎が比較的多くみられます。
特にメスや高齢の犬、糖尿病などの基礎疾患がある場合には、尿路感染症を起こしやすくなることがあります。
尿石症
膀胱内に結石ができると、膀胱粘膜を刺激して炎症を起こし、血尿や頻尿などの症状につながります。
結石が尿道へ移動すると、尿道閉塞を起こすこともあります。特にオス猫では尿道が細いため注意が必要です。
特発性膀胱炎
猫では、細菌感染や結石などの明らかな原因が見つからないにもかかわらず、膀胱炎の症状を示すことがあります。これを特発性膀胱炎と呼びます。
ストレスや生活環境などが関係すると考えられており、治療では薬だけでなく、水分摂取量を増やす工夫やトイレ環境の見直しなども重要です。
症状
膀胱炎では、以下のような症状がみられます。
・何度もトイレに行く
・少量ずつしか尿が出ない
・排尿時に痛そうにする
・血尿がみられる
・トイレ以外の場所で排尿する
・陰部を気にして舐める
・排尿後も落ち着かない
猫では、何度もトイレに入るものの尿がほとんど出ていないことがあります。
特にオス猫で「何度もトイレに行くのに尿が出ていない」という場合には、尿道閉塞の可能性があります。尿道閉塞は緊急性の高い状態なので、早急な受診が必要です。
診断
膀胱炎が疑われる場合、まず尿検査を行います。
尿検査では、尿の色や濃さ、血液、炎症細胞、細菌、結晶などを確認します。
細菌感染が疑われる場合には、尿の細菌培養検査や薬剤感受性試験を行い、原因となる細菌や有効な抗菌薬を調べる場合があります。
また、超音波検査やレントゲン検査によって、膀胱結石や腫瘍などの有無を確認します。

↑超音波検査(膀胱壁の厚みや結石、浮遊物の有無を確認する)

↑尿検査(顕微鏡で結晶、細菌、赤血球などを確認する)
治療
治療は、膀胱炎の原因によって異なります。
細菌感染が原因の場合には、検査結果などを考慮して適切な抗菌薬を使用します。
尿石症が関係している場合には、結石の種類や状態に応じて食事療法や内科的治療を行い、必要に応じて外科的に結石を摘出します。
猫の特発性膀胱炎では、水分を十分に摂取できる環境を作ることや、トイレの数・場所・清潔さを見直すことが重要です。生活環境のストレスを減らすことも再発予防につながります。
予後
膀胱炎は、原因を適切に特定して治療することで改善が期待できます。
一方で、原因によっては再発を繰り返すことがあります。特に猫の特発性膀胱炎では再発を繰り返すことがあります。特に猫の特発性膀胱炎では再発することもあるため、日頃から排尿の様子を観察することが大切です。
また、尿道閉塞を伴った場合には緊急処置が必要となります。特にオス猫で尿が出ていない場合は、様子を見ずに早急に処置が必要です。
まとめ
犬や猫の膀胱炎は、頻尿や血尿などの症状がみられる身近な病気ですが、原因はさまざまです。
犬では細菌感染による膀胱炎が多くみられる一方、猫では特発性膀胱炎や尿石症など、細菌感染以外の原因も多くみられます。
「何度もトイレに行く」「尿が少ない」「血尿がある」「排尿時につらそうにしている」など、普段と違う様子が見られた場合には、早めの受診をおすすめします。
特に猫では、尿が出ない状態続くと命に関わることがあります。日頃から尿の回数や量、色、排尿時の様子を観察することが、病気の早期発見につながります。

