犬の眼球脱出 |犬猫の治療のことなら広島市konomi動物病院

犬の眼球脱出 |犬猫の治療のことなら広島市konomi動物病院

犬の眼球脱出

病態

眼球脱出とは、何らかの強い外傷によって眼球が眼窩(がんか:目を収めている骨のくぼみ)から前方へ飛び出してしまった状態を指します。

交通事故や傷、転落事故などによって発生することが多く、特に眼窩が浅い短頭種では比較的軽い衝撃でも起こることがあります。

眼球が脱出すると、まぶたが眼球の後ろに入り込んでしまうため、眼球表面が乾燥しやすくなります。また、眼球を支える筋肉や神経が損傷することで、視力障害や失明につながる可能性もあります。

眼球脱出は緊急性の高い疾患であり、できるだけ早く治療を行うことが重要です。

原因

眼球脱出の主な原因は外傷です。

・交通事故

・他の動物とのケンカや咬傷

・高所からの転落

・衝突事故

・首輪を強く引っ張られることによる頸部圧迫

などが原因となります。

特に以下のような短頭種では発症リスクが高いとされています。

・シーズー

・パグ

・ペキニーズ

・フレンチ・ブルドッグ

・ボストン・テリア

これらの犬種は他の犬種に比べて眼球が前方に突出しており、眼窩も浅いため、比較的軽い衝撃でも眼球脱出を起こすことがあります

症状

眼球脱出では以下のような症状がみられます。

・眼球が前方へ飛び出している

・まぶたが眼球の後ろに入り込んでいる

・結膜の著しい腫脹や充血

・出血

・眼球表面の乾燥

・目を閉じることができない

・痛みや不安による興奮

重症例では、

•角膜潰瘍

・角膜穿孔

・眼球破裂

・失明

などが起こることもあります。

診断

特徴的な外観から診断されることがほとんどです。

しかし、眼球だけでなく全身にも大きな外傷を受けている可能性があるため、

・身体検査

・神経学的検査

・レントゲン検査

・超音波検査

などを行い、他の部位の損傷の有無も確認します。

また、眼球や視神経の損傷の程度を評価し、眼球の温存が可能かどうかを判断します。

治療

眼球脱出は緊急手術の対象となることが多く、可能な限り早急な処置が必要です。

眼球に生理食塩水や眼軟膏を使用して乾燥を防ぎながら、全身麻酔下で脱出した眼球を元の位置へ戻します。

眼球を整復した後は、再び脱出しないように上下のまぶたを部分的に縫合する「一時的眼瞼縫合(タルソラフィー)」を行います。

ただし、

・眼球破裂がある

・視神経が断裂している

・眼球周囲の筋肉が複数断裂している

などの重度の損傷がある場合には、眼球を温存できず眼球摘出が必要となることもあります。


術後管理

術後は炎症や感染を防ぐために、

・抗生剤

・消炎鎮痛剤

・点眼薬

などを使用します。

また、目を擦らないようにエリザベスカラーの装着が必要になります。

術後1~3週間程度で眼瞼縫合を解除し、その後の眼球の状態や視力の有無を確認します。

予後

予後は治療までの時間や損傷の程度によって大きく左右されます。

比較的早期に治療が行われた場合には眼球を温存できる可能性がありますが、視力の回復までは保証できません。

特に、

・治療までに時間がかかった場合

・視神経損傷がある場合

・複数の眼筋が断裂している場合

には、失明や眼球摘出となるリスクが高くなります。

そのため、眼球脱出は「時間との勝負」ともいえる緊急疾患です。

まとめ

眼球脱出は交通事故や咬傷などの外傷によって眼球が眼窩から飛び出してしまう緊急性の高い疾患です。

特に短頭種では発症しやすく、早急な処置が眼球温存の鍵となります。

治療では全身麻酔下で眼球を元の位置へ戻し、一時的にまぶたを縫合して保護します。発見した際は無理に眼球を戻そうとせず、

清潔なガーゼを湿らせて眼球の乾燥を防ぎながら速やかに動物病院を受診することが大切です