犬の甲状腺機能低下症|犬猫の治療なら広島市konomi動物病院

犬の甲状腺機能低下症|犬猫の治療なら広島市konomi動物病院

犬の甲状腺機能低下症

甲状腺および甲状腺ホルモンについて

甲状腺は首元に気管をはさんで左右に1つずつある臓器です。ヒトにはもちろんですが、犬にも猫にもあります。そして、甲状腺からは甲状腺ホルモンという内分泌物質が放出されます。甲状腺ホルモンは平たくいえば体の代謝に関わるホルモンになります。

成長ホルモンや性ホルモンというのは聞き馴染みがありますが、甲状腺ホルモンというのも同じ内分泌系の物質です。甲状腺ホルモンによって自律神経系が活発になったり、そうでなくなったりして、発汗の程度や胃腸の動きが変わることがあります。

犬の甲状腺機能低下症について

獣医学では犬は甲状腺機能低下症に注意で、猫は甲状腺機能亢進症を意識する傾向にあります。不思議なもので、反対の病態の発症率が犬と猫で大きく異なるのです。そして、ともに高齢な子ほどよく見かけられるようになります。ただ、犬では若いうちから甲状腺機能低下症を罹患している子も珍しくはありません。

症状

甲状腺機能低下症は主に嘔吐、脱毛、元気の低下などになります。よく話をさせていただいているのが、長時間の散歩に行けなくなったり、疲れやすくなったうえ、被毛が薄くなることで、まるで何歳も年をとったかのようになるのが特徴です。ただ、食欲などはあるため、一見、重症という感じには見えないというのも難しいところです。

一番分かりやすいのが、ラットテールと呼ばれる尾の脱毛になります。全身の被毛が薄くなる傾向にあるのですが、特に尾の脱毛が最初に起きやすく、そのような病気は甲状腺機能低下症以外にほとんどありません。

診断

甲状腺機能低下症の診断は比較的容易です。血液検査で甲状腺ホルモンの数値を測定するだけで確認ができます。多くの施設では外注検査になりますが、当院では院内で検査することが可能です。20~30分ほどで検査結果が判明するため、上記のような症状が見受けられる場合は検査を受けてみることを推奨いたします。

あとは、上記のような症状がない場合でも、血液コレステロール値が異常に高かったり、中性脂肪値が正常値の何倍もあるときは疑いを持つべきかもしれません。

治療

本症は飲み薬を中心とした内科的な治療で症状の改善を見込めます。特に被毛が薄い子は、適切な飲み薬で毛が生えてくることが多くあり、見違えるように若々しくなることが期待できます。

ただ、ホルモン治療はやりすぎもよくなかったり、その反対でも治療効果が見込めません。なので、定期的なホルモン検査を実施しつつ、罹患動物に合った適切な薬用量というものを検討していく必要があります。

また、投薬により、多くの場合において、体重の減少が認められます。ある程度体重が減っても問題ない子であればよいのですが、すでに低体重になっている子の場合は注意が必要かもしれません。