犬の上腕骨顆上骨折
犬の上腕骨顆上骨折
病態
肘の部分の骨折です。
1歳未満の若齢期に起こりがちな、上腕骨の骨折です。
高いところから落としたり、無理な体制で着地をしたり、すべって転んだり、、
そういった外傷により、骨が折れてしまいます。
関節部分での骨折なので、脱臼のような症状となり、見た目には骨折と思えないような歩き方をしたりします。
(骨幹部での骨折の場合は、肢がブランブランになって、変な方向に曲がったりすることがほとんどですが、本疾患はそういう外観ではありません)
診断
診断はレントゲン検査にて判定します。
上腕骨の顆上骨折は、よく見ないと見落としがちな骨折です。
骨が大きくズレていないケースがあり、レントゲンで一見、問題ないようにみえてしまうことがあります。
あとは、触診にて、関節の不安定さを確認します。
カタカタ動くような場合はしっかり治療をしてあげないといけません。
治療
治療はほとんどの場合、外科的な手術となります。
スクリューを打ち込んだり、骨プレートを用いたり、ワイヤーを使用することもあります。
当院ではスクリューを用いることが基本ですが、骨プレートもできるだけ使用しています。
手術は患肢を剃毛して、消毒等行い、慎重に進めます。
若齢での発症が多いので、麻酔管理などは比較的安全です。
切開していき、骨折部位を探ります。
骨折部位が確認できれば、骨折断端面が合うように整復を行います。
スクリューや骨プレートを装着します。関節の可動性など確認して終了です。
早い場合は1時間程度で完了しますが、長くかかると3時間程度要することがあります。
スクリューの設置位置が骨折面に対して、できるだけ垂直になるようになっているか確認します。
手術後はおよそ1~2週間程度で、少しずつ患肢をついて歩けるようになります。
骨折の手術は多数経験がありますが、関節面の手術はやはり緊張します。
少し手元がぶれるだけで関節を損傷させてしまう可能性もゼロではありませんので。
そうした中で、走り回れるくらい元気なってくれると、本当にうれしいですね。
今後も整形外科を含めて、あらゆる疾患に対応できるよう、勉強してまいります。
どうぞよろしくお願いいたします。
症例2
手術前のレントゲン
左前肢の肘部が骨折および脱臼しています。
骨スクリューおよび骨プレートの設置を実施しました。
約1週間程度で十分な歩行が可能となります。