犬の白内障手術について

犬の白内障手術について

犬の白内障手術

犬の白内障手術

白内障について

白内障は眼球の中でレンズの役割をする水晶体が白濁することで視野が悪くなる眼科疾患です。
光や色を感知する網膜に十分な光が届きにくくなってしまいます。進行すると、高い確率で完全に視野が奪われ、視力が失われてしまいます。

視力の低下は日常生活に大きな影響を与えます。ものにぶつかったり、高いところから落ちたり、外出することを嫌がるようになったり、プラスになることは何もありません。ただ、もともと、犬は視力がそれほど良いわけではないことと、鼻や耳がよく効くので、眼がまったく見えなくなったとしても、生活を続けていくことは可能です。それでもできれば、質の良い生活を送るためにも白内障の治療は考えてあげるべきかもしれません。

白内障は遺伝的な発症のほか、糖尿病、クッシング症候群、高脂血症などの疾患に続発する形であらわれることがあります。特に糖尿病をり患している犬は高確率で白内障を発症します。
上記のような基礎疾患の程度により、点眼などの治療を選択することもありますが、できるだけ手術での改善をこころみます。手術は費用がかかることと、絶対に目が見えるようになると保証できるものでもないので、よく検討していただく必要はあります。

白内障の手術について紹介いたします。

白内障の手術について

手術の可否は持病の程度や年齢、元気さなどから判定します。あとは血液検査などでも腎機能など問題がないかチェックします。

白内障の手術は全身麻酔下にて実施します。(眼の手術は少しでも動くと危険なので、麻酔処置は必須となります。)
体格や重症度にもよりますが、手術の時間はおよそ60~90分程度になります。
(準備などの時間を含めると数時間かかることもあります。)

当院では白内障の手術にあたって、水晶体の乳化吸引装置を使用し、水晶体の濁りを除去します。
瞳孔を散瞳させた状態で、手術を開始するようにします。
専用の顕微鏡などを使用して、角膜輪部からアプローチをして、水晶体の前嚢を切開します。
その後、専用の機器にて乳化吸引を行い、水晶体をクリーンな状態に再生します。
必要に応じて、レンズの挿入を実施し、切開部の縫合などを行います。

手術後はしばらく眼球の状態を確認する必要があるため、数日~1週間程度の入院管理が必要になります。
手術した眼球について大きなトラブルがなく、安定化を確認できたら退院となります。
糖尿病のような持病をかかえてる子の場合、入院中にそれらの治療も並行しておこなうようになります。当院では糖尿病やクッシング症候群などの内分泌系の治療も得意としておりますので、安心してお任せいただければと思います。

ところで本手術には注意点があります。その術後の問題のひとつとして、後発白内障があります。
手術した部位に再度、似たような白濁が生じる現象です。
すべての症例で後発白内障が生じるわけではありませんが、たまに発症が確認されます。
残念ながら後発白内障については動物医療においては有効な予防法などはありません。治療についてもなかなか厳しいものとはなっています。

しかし、手術により視野が回復した子は世界が広がったように元気に動き回ることができるようになります。すべてのケースで視力がもどるわけではありませんが、早期治療により回復を見込める場合は、手術を検討いただければと思います。
犬の白内障についてお悩みの方はぜひ当院にお問い合わせください。

どうぞよろしくお願いいたします。

症例1

リリちゃんは若くて元気なのですが、白内障を患ってしまい、視力が著しく低下している様子でした。とても大きな子なのですが、遠方から当院にご来院いただきました。

手術前の状態

水晶体が白濁している様子が肉眼的に確認できます。
白内障の程度、手術の検討は、超音波検査などを用いて確認します。
特に超音波検査は非常に有効な検査方法となっています。

手術後の状態

水晶体の白濁は改善されています。
視力の改善が見込めるかどうかは個体差が大きい部分がありますが、早期の手術により視力の維持が見込めることがあります。

 

手術の模式図になります。
非常に繊細な手術となりますので、高拡大できる専用の顕微鏡を使用します。

症例2

糖尿病を持病としてもつ子の症例になります。糖尿病がある場合は、術後の体調の変化に気をつかいますが、おおよそ安定はしてくれます。万が一、体調不良など生じた場合は、糖尿病の治療を優先的に行うこともあります。

↓ 手術前(肉眼的に水晶体の濁りが確認できます)


↓ 手術後(濁りはなくなり、見た目にはスッキリした外観になります)

白濁した水晶体を吸引することで視力が回復する可能性が見込めます。
動物の場合はお話ができないので、本当に見えているのかどうかなのか悩むことが少なくありませんが、そうした中で、見えているような動きがあらわれるようになるととてもうれしく思います。

白内障の原因

原因の多くは遺伝的な要素が強くあります。日常生活において、食べているものや散歩の時間、屋外飼育などの生活環境といったものはあまり影響はありません。白内障になってしまう子はなってしまうという印象です。年齢も若齢で発症する子もいれば、高齢の子もいます。

あとは、糖尿病が原因でなるケースも多々あります。コレステロールなどが血液に多くあると、脂質が目に沈着して、白内障を発症しやすくなります。なので、コレステロール値を下げるように意識してあげることも大切なことだと推察されます。

白内障の早期発見のポイント

白内障手術によって、視力の回復が見込めるかどうかは早い段階で手術をするかどうかに大きくかかわってきます。そのため、早期発見・早期治療が肝心となります。

白内障は水晶体が濁るため、視覚的におおよそ判断することができます。目が白っぽいなと感じたら白内障かもしれません。見た目だけではわかりにくいこともあるので、フラッシュをたいた写真を撮影するとわかりやすいこともあります。フラッシュがないといけません。光をあてることで、通常は緑や赤っぽく目がうつることが多いのですが、それが白く反射していた場合は白内障の確立が高まります。

また、視力にも大きく影響を受けます。なので、最近、壁やものにぶつかりやすくなったり、歩くのを怖がるようになったり、溝に落ちたりするようなことが増えたら、白内障の疑いが強くなるかもしれません。

あと、上述のように白内障は続発的に発症することが多くあります。糖尿病やクッシング症候群、高脂血症などの持病がある子は罹患しやすいものなので、日ごろから注意して観察していただくことが肝要となります。

手術以外の治療方法について

白内障を根本的に治療するとなると、手術が第一選択となります。ただ、体調や年齢、麻酔のリスク、費用のことなどで手術が選択できないことも多々あるかと思います。

手術以外の選択肢は点眼薬になります。白内障に使用できる点眼薬も多々ありますので、その子その子にあった目薬を選んでいく必要がありそうです。ただ、注意点として、点眼では基本的に治ることはないということです。悪化を防いだり、進行を遅らせることはできるかもしれません。何もしないよりは点眼だけでもしてあげることは大切なことだと思います。