犬・猫の永久気管開口術|犬猫の治療なら広島市konomi動物病院

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犬・猫の永久気管開口術

犬・猫の永久気管開口術

手術が適応となる疾病について

永久気管開口術は文字通り気管を切開し、開口させて気道を確保する手術になります。
主に呼吸困難を呈する病気を対象とした治療法になります。

・喉頭麻痺
・喉頭虚脱
・喉頭腫瘍
・気管虚脱
・気管腫瘍
・口腔内腫瘍

などが対象となります。
重度の呼吸困難に対して、本手術を行うことで、気道を確保し、安定した呼吸を得ることができます。

手術方法について

気管の手術は全身麻酔下にて行います。
気管に気管チューブという管をいれることで気道を確保します。
(※この時点でチューブが入らない症例もいます。その場合は緊急的に気管を切開する必要があります)

気管の手術は頸部を切開してすすめます。
気管軟骨を確認できたら、切開の幅などを検討していきます。
軟骨を切らなさすぎてもダメですし、切りすぎてもいけません。慎重に手術はすすめます。
切開ができたら必要におうじて縫合処置をして完了とします。
かなりの数の縫合を実施する必要があるので、とても長時間の手術になることが一般的です。

上記のイラストでは気管を確認して、もともと気管に乗っかるようにしてあった筋肉を、気管の下側に移設するように縫合処置をしています。
気管の開口部に筋肉が障害となるため、このような処置をします。

筋肉の縫合が完了したら、気管の切開にうつります。切開に必要なサイズをよく検討して慎重にすすめます。
この作業では気管の軟骨と粘膜をうまく分離することがポイントになりそうです。
切開をすると、気管に入れている気管チューブが確認することができます。

最後に気管粘膜と皮膚を縫合します。これにより、気管に人工的にあけた開口部から空気を取り入れることが可能になります。
もちろん、肺の空気が声帯を介さずに外気と入れ替わるようになりますので、声が出なくなります。
吠えるような仕草はありますが、鳴き声は出ません。その点は留意する必要があります。

手術のリスクについて

気管は呼吸にかかわります。
そして、呼吸は命に直結します。
なので、本手術のような気管の手術はそれなりにリスクがあることを認識しておく必要があります。
場合によっては手術はうまくいったが、術後に呼吸が安定しないケースもあります。

またこの手術方法で最も注意しないといけないのが手術後のアフターケアになります。
気道から出る分泌物を毎日のようにキレイに洗浄してあげたりをしなければいけません。
そうした自宅での管理をしっかりできる環境がととのっていないと、術後管理がとても心配になります。

予後について

手術をした後の経過ですが、原疾患によるかと思います。
喉頭麻痺や喉頭虚脱のような神経系の問題であれば、大きな支障はなく生活していくことが可能かもしれません。
一方で、腫瘍性疾患がある場合はどうしても完全には快復する見込みは少ないものになってしまうかもしれません。

ただ、少しでも呼吸を楽にしてあげるためには、この手術法はとても有効です。
当院では多数の実績のもと、手術にあたっています。