犬猫の肥満細胞腫|犬猫の治療なら広島市konomi動物病院

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犬猫の肥満細胞腫

肥満細胞とは

肥満細胞はヒスタミンなどの物質を多く蓄えている免疫に関与する細胞のひとつです。よく勘違いされますが、体脂肪が多い肥満とはあまり関係はありません。単純に細胞自体が大きいので、その細胞が肥えているということで肥満細胞と呼ばれています。

アレルギー反応に強くかかわっており、ウイルスや寄生虫など外的要因に対して対抗する能力があります。しかし、それが過敏になりすぎるといわゆるアレルギー症状といったトラブルにつながることもあります。

肥満細胞腫

肥満細胞腫は肥満細胞が腫瘍化した疾病になります。体に通常に存在する肥満細胞が無秩序に増殖してしまい、しこりを形成します。臨床的には顔や四肢など皮膚にできものができたように少しかためのしこりがつくられます。「できものがある」「イボが大きくなってきた」といったことで来院されるケースが多くあります。

診断

肥満細胞腫の診断は細胞診または病理組織検査にて確定診断を行います。細胞診では腫瘍に対して細い針をさして顕微鏡でその細胞を確認します。

肥満細胞は細胞質に顆粒を多く含み、顕微鏡で比較的わかりやすい細胞の構造をしています。ただ、細胞診の弱点として、胸腔や腹腔といった内臓に関する腫瘍では実施しにくいことがあるという点があげられます。肥満細胞腫は体表で多く発見されますが、たまに内臓に発症するケースもあります。

例えば肝臓や脾臓などに発症した場合は病理組織検査を実施することがあります。顕微鏡では分かりやすいのですが、肉眼的には判別が困難なことがほとんどです。内臓にできている場合は、手術などを検討して確定診断を考えていく必要があります。

治療

肥満細胞腫の治療は腫瘍の三大治療(外科手術・抗がん剤・放射線)が検討されます。やはり第一選択は外科的な摘出手術になります。

手術は可能な範囲で広めに切除して完治を目指します。ただし、肥満細胞腫はヒスタミンを多く含み、手術によってそのヒスタミンが過剰に放出されるリスクも無くはありません。ヒスタミンの影響で胃腸などに負担が大きくかかる可能性もありますので、手術する際にはその点まで考慮する必要があります。

抗がん剤は肥満細胞腫ではとても重要な治療方法のひとつになります。多く使用されているのは分子標的薬というタイプで肥満細胞腫の成長を阻害する効果が見込めます。場合によっては抗がん剤の使用について効能を見込めるかどうかの遺伝子検査を実施することがあります。

体表にできている腫瘍に関しては放射線治療も有効な治療方法になります。ただ、実施ができる施設が限られることや麻酔管理を前提とした複数回の放射線照射が必要になるため、金銭的にも現実的に難しいケースもあります。