胆嚢摘出手術(胆嚢破裂)|犬猫の治療なら広島市konomi動物病院

胆嚢摘出手術(胆嚢破裂)|犬猫の治療なら広島市konomi動物病院

胆嚢摘出手術(胆嚢破裂)

胆嚢摘出手術(胆嚢破裂)

胆嚢について

胆嚢は胆汁と呼ばれる液体を貯蔵してある内臓のひとつです。
胆汁には消化酵素が含まれており、食べ物を消化する際に機能します。
つまりは食事をすると胆嚢が働くというわけです。
ただ、胆汁自体は肝臓でつくられ、肝管および胆管を経て、十二指腸に排せつされます。
つまり、胆嚢は無くてもよい臓器といえるのです。
必要であれば手術で摘出することも検討しないといけません。

胆嚢破裂

犬では胆嚢関連の疾患がしばしば見受けられます。多くは胆泥症ですが、悪化すると胆嚢粘液嚢腫と呼ばれる病態となり、本来あるべき胆嚢の機能が著しく低下することがあります。胆嚢粘液嚢腫は基本的には内科的治療を実施するべきですが、血液検査にて肝酵素値の上昇や黄疸を呈している場合は外科的な介入が必要になります。なお犬では胆石症は比較的まれで、猫では胆嚢の病気は少ない傾向になります。ただし、胆管関連の腫瘍性疾患は猫に好発します。
胆嚢粘液嚢腫は悪化の一途をたどると、胆嚢破裂を引き起こすことがあります。胆嚢が破裂すると、胆嚢内の胆汁が腹腔内に漏出します。それによりいわゆる胆汁性腹膜炎を引き起こします。

症状

内臓破裂は脾臓の腫瘍や尿管、胆嚢などで発生することが多いかなと思います。いずれにしても急激に元気がなくなるのが特徴です。昨日までは元気だったのに、朝になったら急激にぐったりしているという状態です。事前に内蔵破裂の危険性が予期できていればよいのですが、気づかないうちに病気が進行してしまい、結果的に内蔵破裂を引きおこしてしまったケースは多々あります。
胆嚢が破裂すると、ぐったりするのはもちろんですが、強烈な吐き気を伴います。そして胆汁性腹膜炎により、食欲もほとんどなくなります。

診断

診断は主に血液検査と超音波検査によります。近年は超音波検査の精度が良くなってきていますので、胆嚢関連の疾患の治療成果も上がっているように思えます。胆嚢が破裂していた場合は超音波検査にて胆嚢の変形が認められます。重度の腹膜炎を呈しているときは腹水の貯留も確認できることがあります。

治療

胆嚢が破裂すると胆汁の漏出による腹膜炎となります。胆汁性腹膜炎は無菌的なことが多いので致命的になることは少なく、胆嚢も修復機能があるため、緊急的に手術を行うべきかは意見の分かれるところです。今回はまず内科的な治療を実施し、全身状態がある程度良くなったところで、胆嚢摘出手術を実施しました。
開腹時には多量の胆汁が漏出していることが確認できます。

摘出する胆嚢を縫合糸にて牽引しています。肝管や総胆管に詰まりがないか確認して、胆嚢の摘出をおこないます。胆嚢の裏には血流の多い肝静脈が走行しているため、大出血しないように気をつかう非常に繊細な手術になります。

摘出した胆嚢は胆汁が漏出してしまい小さくしぼんでしまっています。手術後は血液検査にて肝機能や黄疸の有無を慎重に評価していきます。食欲があり、黄疸などなければ問題ない経過をたどります。